キバナコウリンカ(学名:Tephroseris furusei)は、キク科オカオグルマ属の多年草。以前はキオン属 Senecio L. に分類されていた。
特徴
茎は直立し、上方で分枝して、高さは20-50cmになり、ときに100cmになる。茎にクモ毛がある。根出葉はロゼット状に広がり、葉身は楕円形から卵形になり、基部に狭い翼のある長さ4-6cmの葉柄があり、花時に生存するか、ときに生存しない。茎につく葉は互生し、下部の葉身はさじ形で、長さ8-16cm、縁に低くて粗い鋸歯があり、基部はやや狭まって翼状の葉柄になり、半ば茎を抱く。茎の中部につく葉の葉身は卵形から倒披針形になり、上方にいくにしたがって小さくなる。葉の両面には白色の綿毛がある。
花期は6-7月。頭状花序は3-5個が散形状につき、頭花の径は2.5-3.5cm、花柄は長さ3-6.5cmになる。総苞は長さ5-7mm、幅10-14mmになる鐘形で、総苞片は1列で披針形、短毛が生え、総苞基部の苞葉はない。花冠は鮮黄色で、舌状花冠は広線形で長さ12-16mm、幅1.8-2.2mm、筒状花は長さ12-15mmになる。果実は楕円形の痩果になり、長さ3.7mm、暗褐色で毛が生える。冠毛は汚褐色で、長さ6-8mmになる。染色体数2n=48。
分布と生育環境
日本固有種。本州の埼玉県・群馬県の秩父山地に分布し、石灰岩地の岩地やその斜面の崩壊土壌に生育する。
名前の由来
和名キバナコウリンカは、北村四郎 (1952) による命名。北村は、『植物分類,地理』第14巻第5号において新種として記載し、和名を Kibana-korinka とした。
種小名(種形容語)furusei は、この植物の発見者で植物採集家の古瀬義(ふるせみよし)(1911 - 1996)への献名。タイプ標本は、1949年7月に、古瀬が埼玉県の二子山で採集した。
保全状況評価
絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り。
- 群馬県-絶滅危惧IB類(EN)
- 埼玉県-絶滅危惧I類(CE)
埼玉県では、埼玉県希少種野生動植物の種の保護に関する条例の規定により、2000年12月に「県内希少野生動植物種」に指定されている。
ギャラリー
分類
同属のタカネコウリンカ Tephroseris takedana (Kitam.) Holub (1973)とは、同種は花が橙黄色で舌状花冠の長さが10mm、総苞基部に苞葉があるのに対し、本種の花は黄色で舌状花冠の長さが12-16mm、総苞基部に苞葉がつかない点で区別できる。また、コウリンカ Tephroseris flammea (Turcz. ex DC.) Holub subsp. glabrifolia (Cufod.) B.Nord. (1978)とは、同種は茎にほとんど毛はなく、花冠が橙黄色で舌状花冠が下垂するのに対し、本種の茎にはクモ毛があり、花冠が鮮黄色で舌状花冠が下垂しない点で区別できる。
脚注
参考文献
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III 合弁花類』、1981年、平凡社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 矢原徹一他監修『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』、2015年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- 北村四郎「東亞産新植物記相」『植物分類,地理』第14巻第5号、日本植物分類学会、1952年、147-148頁、doi:10.15281/jplantres1887.19.223_187。
- 埼玉県希少種野生動植物の種の保護に関する条例、埼玉県環境部自然環境課




